2004年03月23日

選考レース

アテネオリンピック出場選手の選考に関しては以前Impressionsでも取り上げているが、ここでもう一度確認しておこう。

日本陸上競技連盟の規定によれば
選考競技会は

・第9回世界陸上競技選手権大会

・2003年東京国際女子マラソン大会

・2004年大阪国際女子マラソン大会

・2004年名古屋国際女子マラソン大会

の4レース。そして選考基準は

有効期限内(2003年1月1日〜2004年8月13日)に参加標準記録を突破していることが、全ての代表選手選考の前提となる。但し、参加標準記録が設定されていない種目を除く。

男女マラソン
(1)第9回世界陸上競技選手権大会でメダルを獲得した男女マラソン競技者の中でそれぞれの日本人最上位者を代表選手とする。
(2)上記以外の男女マラソン代表選手は、各選考競技会の日本人上位の競技者の中から本大会でメダル獲得または入賞が期待される競技者を選考する。



ここでの問題は(1)の内定が早すぎるのではないかということ。
それともう一つは(2)の規定が非常に曖昧な表現だということだ。



(1)に対する批判は今まで世界陸上で内定し、その後オリンピックに出場した選手があまり芳しい成績を修めていない、端的に言えばメダルを取れていないことに起因する。もうひとつは(2)にも絡んでくるが、ここで一人が内定してしまうと、残りの枠二つを3つのレースの多くの参加者から選ばねばならず、残されたものは相当熾烈な争いになるということなどである。



(1)の世界陸上に対しては、オリンピックより1年も前の大会の成績を重視してどうするのかという批判もあるが、逆に国内の選考レースのように夏場の暑い時季のオリンピックの予選をなぜ冬に行うのかと言う反論がある。そう言った意味では、夏に行われる世界陸上を評価することは決して間違ってはいないように思われる。



世界陸上が特別扱いされるのは以前Impressionsに書いたように、陸上競技の大会としての認識が一般人と陸上競技関係者の間でかなりの隔たりがあるからだとも考えられる。

もう一つの理由に予選の重圧から解放して、オリンピックの為の練習を早くからさせてやりたいという陸連の思いやり?の部分もあるようだ。もちろんこの世界陸上も早々に内定を出すのではなく、あくまでも予選のひとつとして捉えるべきだとの声もある。ただ世界陸上は選手枠が5名であり、そう言った意味ではオリンピックよりもかなり出場しやすい大会である。よって実力者ならここで勝てばいいだろうとも言える。今回出場を決めた野口みずきは実際に強かったから銀メダルをとれたのであり、それに対する批判はおよそ過去の世界陸上組によってもたらされた期待の薄さから出ているものであり、あまり根拠の無いものと思われる。もちろんそれも日本の過去の実績として考えれば再考の余地はある。



より問題で、今回も物議をかもしたのが(2)の選考基準である。
読みようによっては陸連の思惑で誰でも選べそうである。実際に今まで選考レースの結果よりも過去の実績を買われて出場した選手が何人かいた。その影で泣いた選手たちの叫びが同情を買い、陸連の競技メンバーに対して無言の圧力をかけていたことは否めないだろう。

この文言の中で言われている最大のポイントは、メダル(もしくは入賞)獲得の可能性であり、それを選考レースの結果だけから判定するのか、それとも過去の実績も踏まえた上で検討するのかということである。過去の歴史では、結果よりも実績が評価されることが多かったように思うが、今回は完全に逆の形を取っている。もちろん、過去の批判を受けてというのはあるだろうが、誰が一番メダルに近いところにいるかと考えれば、これは間違いなく高橋だろう。たんに陸連が弱腰になって世論を意識した結果こうなったのかは非常に疑問があるところである。

banner_01.gif

Trackback on "選考レース"

このエントリーのトラックバックURL: 

"選考レース"へのトラックバックはまだありません。

Comment on "選考レース"

"選考レース"へのコメントはまだありません。

Post a Comment

コメントする
(HTMLタグは使用できません)
ブラウザに投稿者情報を登録しますか?(Cookieを使用します。次回書き込み時に便利です。)
  •  
  •