2004年05月24日

本当か?

Yahoo!ニュース - 政治 - 読売新聞社
日朝首脳会談「評価する」63%…読売緊急世論調査

首相の突然の訪朝を受けてテレビも北朝鮮拉致家族のニュースが盛んだが、ヤフーの掲示板などを見ても今回2度目の小泉訪朝に関して肯定的な意見が多数あるのは正直驚いた。そしてこの新聞社の世論調査結果だが、毎日新聞の調査でも「評価する」という人が62%いるということだから、かなり実態に合っているのだろう。
掲示板は同じような意見や他人のあげあし取りのようなものも多いので全部読んではいられないが、大別すると今回の小泉訪朝に対して「よくやった」と肯定する意見、「成果が無かった、あるいは、むしろ事態は悪くなった」とする否定意見、家族会やインタビューに対する意見(これは中傷の類が多いように思うが)などに別れていたようだ。もともと年金問題から逃れ、参院選を有利に展開するためのパフォーマンスだと思われるので、成果そのものは対朝鮮には無かったに等しいが、この世論調査の結果を見てみると国内においては概ね成功と言えるのだろう。今回拉致被害者の家族からは多くの罵声が飛び交ったが、イラクの人質事件の時と同じく反感を買っているところもある。事情が全く違うのでイラクの時と同じ次元で論じることは出来ないと思うし、家族の怒りはもっともだと思うが、この件に関しては家族会はもとより多くの日本人が感情的に捉えすぎていて問題の本質を見失っているようにも思える。

不思議なのは小泉訪朝に際して事前に情報がリークしたというのもあるが、出発以前に安否不明者の消息が明らかにされるかのような期待を拉致被害者家族にさせていたことである。前回訪問から1年7ヶ月という歳月が流れているので、当然それなりの進展があったであろうこと、外交的には前回こちらの首相が訪問しているので、礼儀としては今回は金が日本に来るべきところをあえて2度目の訪問に踏み切ったのは、それなりの成果を確信してのものであろうという期待は理解できる。一国の首相がなんの成果も上げられないかもしれないという状況でわざわざ敵地に乗り込むことなどありえないからだ。
それにしても今回の結果は期待が大きかった分だけ失望も大きく、実際に子供のお使い以下と揶揄されたのは、来日が実現した5人の家族に関してはいわば出来レースであって、それ以上の成果をあげてこなければ(拉致事件に関して言えば、行方不明あるいは死亡と報告された10人の安否についての情報がもたらされなければ)わざわざ首相が赴く必要も無かったのではないかということだ。前回帰国した家族の5人に関しては事務レベルの段階で帰国を実現しておくべきであったし、それが出来ないのは日本の外交力の無さか、あるいは北朝鮮の狡猾さなのか、普通に考えれば日本がだらしないということなのだろう。

気になったのは、今回の北朝鮮の首相への扱いが非常に軽く見て取れたことだ。こちらがわざわざ出向いているにもかかわらず、金の出迎えをさせ、また見送らせた。しかも立ち位置までを次官級のレベルの人間に指示されている。格下というよりもほとんど属国に近い扱いである。それに異議を唱えられない小泉の側近連中も役に立たない奴らばかりかと腹立たしく思ってしまうが、北朝鮮ペースで進められたということは、今回の会談がまさしく日本の都合もしくは首相の思惑で無理に行われたことを示唆している。もしもこれが日本の企業間の社長同士の会談だとした場合に、こんなお膳立てをした部下は間違いなく左遷かクビになるだろう。日本人として見ていて情けなく思ったのは私だけではないと思う。

結局核問題に関しても一切進展が無く(これに関してはあったらむしろ驚きだが)、成果については受け止め方は人それぞれで、今後拉致問題に関して進展が見られるのかどうかは未知数だが、気にかかるのは帰国が実現した5人の子供たちのことだ。今回米25万トンの食糧援助と資金援助1000万ドルを約束していて、それが身代金扱いとみなされている傾向がある。イラクの時もそうだったが、それによって日本がいくら金かけたと思っているんだというような、理不尽な誹謗をする輩が今後出てこないとも限らない。地元の人たちは歓迎ムードのようだから心配は無いだろうが、マスコミやジャーナリストにはかなり意地の悪い質問をする奴もいるので、その辺り是非寛大な気持ちで見守ってあげて欲しいところである。

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