2004年10月01日

立山黒部アルペンルート4(本編1)

ここにたどり着くまでに随分寄り道してしまいました(ブログのことね)。さて前日早くに寝たせいか、夜中の3時ごろに起きてタバコを吸ったりゴソゴソしていたらすっかりカミサンの顰蹙を買ってしまったわけですが、大浴場が夜は12時まで(1時だったかも?)朝は5時からとなっていたので、結局2回目の風呂は入れませんでした。しょうがなくもう一度寝たわけですが、この日はアルペンルートに備えて朝早く起きる予定ではありました。ところでアルペンルートには手荷物回送サービスというのがあります。今回のツアーには最初からついていましたが朝8時半までに荷物をフロントに預けておくと、その日到着予定のホテルまで余分な手荷物を運んでおいてくれると言うものです。実際に多くの移動がありますのでほとんどの人がこのサービスを使うことになると思います。もしマイカーで行った人はマイカー回送というのもありますが、これは結構な値段がするようです。

さて、朝食は6時半からになっていましたので、先に荷物をまとめてフロントに預け、慌しくバイキングの朝食をとります。いつもの旅行なら間違い無く寝ている時間ですが、40分頃会場のレストランにつくとすでに多くの人たちがテーブルについていました。その中でとりあえず、食後の準備やらチェックアウトの会計の時間なども考えて急いで食事をしたんですが、ほとんど味はわかりませんでした。可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。アルペンルートの起点である扇沢行きのバスは7:33分発でしたので、バス停まで歩く時間などを考え7時20分にはホテルを出たいと考えていました。早めに会計を済ませて外に出ると、一台のホテル専用マイクロバスが止まっていた(写真のバスは違います、念のため)ので、どこ行きのバスなのかを運転手のおじさんに尋ねるとバス停までとの答え。さっき時刻表を見ていたら7:10分にホテル前を出発になっていたのでもうすでに帰ってきたところなんでしょう。私たちが声をかけたのがもう20分を過ぎたころでしたので、最初からそうだろうとは思っていたんですが、もしかすると臨時で乗せてくれないかなという淡い期待を込めて声をかけたわけです。しかし残念なことにその運転手は歩いてもすぐですからという感じで乗せてくれる気配がありません。ダメもとで声をかけたわけですから、別にかまいませんが少し頭にきたのはそう言っていた運転手が運転するそのバスが、私たちがバス停で待っている時に前を通り過ぎたことです。「どの道来るんだったら乗せていけよ」これは私とカミサンの会話です。確かに歩いても大したことはなく、昨日来たときのように大きな荷物を抱えているわけでもないので体力的にも大したことはないのですが、どうもサービスという観点からするとちょっといただけないものではないかと思います。

さて、話を元に戻すとバスはほとんど定刻にやってきました。大町温泉郷のバス停に着いたときには先ほどのバスに乗ってきた人たちなのか、まあ他にもホテルがあるので別のところの人かもしれませんが、すでに3組ほどの年輩のカップルが待っていました。思ったほど多くはなかったですが、これがシーズンになるともっと増えるだろうことは容易に想像がつきます。朝早く出発したのは実際にどれくらいの時間を途中で費やすのがわからないということと、夕方になると天気が悪くなりそうだったこと、もうひとつは今日泊まる予定のホテルが宇奈月温泉というアルペンルートからちょっと離れた、終点である立山から2時間以上かかる場所だったからです。さて、昨日乗ったバスと同じ川中島のバスに乗り、扇沢に向かいます。マイカーで行けるのはこの扇沢までなので途中何台かの自家用車に抜かされましたが、バスは相変わらずマイペースで山を登っていきます。

およそ20分くらいの乗車で扇沢の駅に到着しました。駐車場はほとんどガラガラで、気持ちいいくらい空いています。ここからトロリーバスに乗り換えます。アルペンルートは途中何度も乗り換えますが、他に交通手段がないので、いわば終点まで通しの券になります。旅行会社でもらったクーポンを乗車券売り場の窓口に出し、これをアルペンルート引き換え乗車券に変更してもらいます。8時に出るトロリーバスがあったわけですが、少しの待ち時間のあとすぐにそれに乗ることが出来ました。

どうしてもトロリーという語感からかゆっくり走る乗り物を想像してしまいますが、早い話が電気で走るバス、電車です。パンタグラフがついているので、路面電車に印象は近いですが見た目はバスです。これが山の中のトンネルを走るわけですが、狭いトンネルの中かなりのスピードを出します。壁がせまっているのでスピード感がより増しているのかもしれませんが、もしこれがディーゼルのバスであったら余程黒煙を撒き散らしても半分くらいのスピードしか出ないのではないかと思わせるくらいのスピードです。その前に乗っていたバスがちんたら走っていたので余計にそう感じます。かなりの勾配を一気に上っていくので、トンネルの中ですがなかなか爽快感があります。乗車時間は約15分、途中すれ違うときに待ち合わせがあったりもしましたが、実際の時間よりも短い感覚で黒部ダムに到着しました。


山の中腹に来たからか、あるいはトンネルの中だからなのかよくわかりませんが、少しひんやりします。駅から黒部ダムを一望できる展望台までは200段以上の階段を上ります。以前サイトで調べていたらこの階段が結構きついと書いてあるところが多かったのですが、確かに一気に上れば息もあがりますが実際はそれほどきつくはありません。階段の途中で駅の係員の人でしょうか「展望台は風が強いので頭と帽子に気をつけてください」と言っています。帽子はわかりますが頭ってなんでしょう。普通頭に注意と言えば天井が低いとか、何か落下してくる危険があるとかの場合だと思いますが、風で頭が危ないというのはあまり聞いたことがありません。カミサンはその辺は聞き漏らさず、なぜか私に向かって「頭に注意だって」と言いながら笑っています。私にはさっぱり意味がわかりませんでした。それはともかく200段からの階段を登っていくと一気に視界が開けて黒部ダムの壮大な景色に行き当たりました。ここから写真を撮ると当然のことながら誰が撮ってもだいたい同じ写真になります。

最近になって少し低いところに新展望台が出来ているんですが、若干階段はきついですが、最初は元からあるこの展望台に登った方がいいと思います。好天に恵まれたので、観光放水をやっています。時間が早かったので、多少影が落ちていましたが、時間が経つに連れてだんだんとその放水のところに虹も見えてきました。多分もう少し遅い時間であればもっと綺麗だったに違いありませんが、その辺はスケジュール上の都合ですので仕方ありません。サイトでかなり紹介されているので、ある意味その通りだなとも思ったんですが、放水しているところの印象に比べて下の川はかなり水量が少なく感じます。ダム自体の印象はよくこれだけのものを作ったなというのもありますが、コンクリート剥き出しのその様子は自然の中に溶け込んでいるとは言いがたく、むしろ威容というよりも異様さまでも感じるものでした。それは展望台から下に下りていくときのコンクリートの無機質で冷たい感じと吹き付ける風のせいでもあったと思いますが、ただ先達の苦労や死を考えた時に、そう言った数多のものをも包含して屹立している姿はやはり圧倒されるものがあります。

紅葉シーズンまではもう少しという時季の平日ということもあり、ダム全体がかなり空いていて、少し人が少なすぎて寂しいかなと思うくらいとてものどかな雰囲気ではありました。展望台の売店とかでは中島みゆきの「地上の星」が流れているという話がよく出ていますが、実は展望台近くの慰霊碑やその地上の星に触れることもなく、黒部駅に通じるダムの上の通路まで降りてしまいました。黒部湖は綺麗なエメラルドグリーン色をしています。写真で見るとかなり大きなアーチ型をしていますが、実際に歩くとそれほどのアーチは感じません。黒部の大自然を感じながらのんびりお散歩気分にはちょうどいいかもしれない通路を通って、景観を惜しみながら黒部湖の駅に向かいます。

黒部ダム駅とダムを挟んでちょうど反対側に黒部湖駅があります。ダムの橋のトンネルになったところを少し行ったところです。ここもまた山の中だからなのか、すでに待合室にはストーブが焚かれていました。大観峰と室堂のライブ映像も流されています。ここからだいたい20分に一本の割合で出ている黒部平駅行きのケーブルカーに乗り継ぎます。トロリーバスと同じようにトンネルの中を上っていくわけですが、その勾配は先ほどの比ではありません。最大斜度30度くらいですから、ほとんどエレベーターに近い感じで、登っていくときに前を見ているととても首が痛くなります。時間にして約5分。トンネルの中なので景色は何も見えませんが、なぜかこれもとても面白く感じてしまいました。ただ恐らく立山方面から逆に下りのケーブルカーに乗った方が降りていくときにスリルがあってより面白いのではないかと、そんなことを思っているうちにあっと言う間に黒部平の駅に到着しました。

                                     (つづく)


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