2004年10月22日

立山黒部アルペンルート8(トロッコ列車編)

いよいよ最終日です。このツアーのもうひとつの目玉であるトロッコ列車に乗るわけですが生憎の空模様。駅まではまたホテルのマイクロバスに乗せていってもらいます。出発の際にホテルで大きな荷物を駅前の日通でひとつ200円で預かってもらえるとのことでしたので、そのまま持っていってもらうことにしました。恐らくホテルと提携しているのでしょう。駅にもコインロッカーがあるので、もし二つ入れば300円で済むところです。ただトロッコ列車が出る宇奈月駅と地鉄の宇奈月温泉駅は200mほど離れていますので注意が必要です。

黒部峡谷鉄道のトロッコ列車は宇奈月と欅平間20kmを結ぶ片道およそ80分の鉄道です。ツアーの予約の段階ですでに列車の時間も決まっていたわけですが、この日は平日のためか乗客もそれほど多くなく、いくらでも変更がきいたと思います。ホテルを出るときに仲居のおばさんが列車の右側に乗るようにとアドバイスをくれましたが、それはすでにネットで調べ済み。それ以上に乗客が少なくて右でも左でも、とにかくどこでも座れたので、そんなことはどうでもいいことでした。気になっていたのは実は天気の方で、なぜ天気が問題かというとトロッコ列車の半分かそれ以上の客車は屋根がついているだけでほとんど吹きさらし状態だからです。もともとそういう状態で見るのがある意味醍醐味ですから、晴れていればむしろその方がいいわけですが、雨だとどうしても吹き込んできてしまいます。実際にどれくらいの雨だと濡れるのかも乗ってみないとわからないわけですが、追加料金を払って窓付きにもできるので、もしあまり雨が強いようならそうしようと考えていました。

さて、到着してみると構内は人もまばら。予約してあるチケットを窓口に出すと一つ前のにも乗れるということでしたが、その日の予定はこのトロッコ列車のみですので慌てる必要もありません。特にどこかの団体が乗り込んでくる気配もあまり感じなかったので予定通りの列車にし、雨もそれほど強くなさそうだったので当初の予定通り窓無しの客車にしました。本数は20分に1本くらいの割合で出ていますので、かなり余裕があります。その間にトイレを済ませ構内のみやげ物などをみていましたが、こちらも大した広さでは無いのですぐに見飽きてしまいました。

出発10分くらい前にようやく改札が始まりましたが、乗り込んでみると想像以上に空いていて逆に寂しいくらいでした。少し肌寒い感じがします。ほとんど山の麓ではありますが、それでも山の中は気温が低めです。昔から山は雨が降れば寒いものと心得ていますので、私は防寒対策はバッチリだったわけですが、カミサンはただの観光気分ですのでかなり薄着です。

発車のベルがなりゆっくりと走り始めました。列車はすぐにトンネルに入っていきます。全部の行程は片道約80分とかなり長いのですが、そのうちの半分くらいはトンネルです。狭い隧道内を走るためか、あるいは窓無しですぐそこに壁がせり出しているためなのか、時速はそれほど出ていないと思いますがなかなかのスピード感です。もし倍のスピードで走ったらかなりスリリングな乗り物に違いありません。鉄橋を渡りやがて泊まっていた黒部ホテルの対岸を走っていきます。
バルコニーで白いタオルを振り回している仲居さんを発見しました。ホテルを出る時に仲居のおばさんが前から手を振るので振りかえしてくださいとお願いされていましたので、気は進みませんでしたが一応手を振っておきました。その仲居さんだったかどうかは確認できませんでしたが、どうやらいつも交代で振っているようです。帰りも振っているのかと思いましたが、そこまではしていないようです。

トロッコ列車は渓谷をゆっくりと走っていきます。それでも列車自体が小さいためかあるいは山あいでかなり曲がりくねっているためか、キイキイうるさい音を響かせてなかなか迫力があります。もともと坑道を観光用に再利用しているわけですから、これといってトンネル内に見るものはありませんが、それでも天気さえ良ければ山の景観はかなりのものだったに違いありません。紅葉シーズンなら尚更でしょう。途中いくつかの駅に止まりますが、そのほとんどは乗降のためというよりはすれ違いのためにあるようです。車内アナウンスでいろいろ説明がありますが、宇奈月まで通っている引湯管がダムの向こうに見えたりしています。昨今のインチキ温泉でかなりナーバスになっていたりしますが、宇奈月温泉は隣の黒薙温泉から源泉を引っ張ってきていると明言しているだけかなり良心的なのでしょう。

雨は降ったりやんだりでしたが、薄着のカミサンはかなり寒いようです。私は乗り込んですぐにウィンドブレーカーを着たのでそれほどでもありませんでしたが、カミサンに風除け用にレインコートを着たらどうだと言ったら断られました。どうやらカッコ悪いのが嫌なようです。別に知り合いがいるわけでもないのでそんなことはどうでもいいことだと思うのですが、その辺は女性心理なのでしょう。ただ寒いのはかわいそうなので、フリースを着るかと訊いたところそれなら着ると言ったので、いざという時のためにとっておいた私のがとられてしまいました。実際にこの日は寒かったです。特に窓がついていないので、風に吹かれて体感温度は少なくても2,3度は違っていたはずで、お洒落と実用性を両立したいなら、そのあたりの準備を怠り無くしておくのが賢明でしょう。小降りだったためかそれほど雨は吹き込んできませんでしたが、それでもレインコートはあった方がいいと思います。

片道80分の距離はいささか長い感じがします。最初のうちは物珍しさもあり、環境に適応するのに時間もかかるためわりと短く感じますが、終点の欅平につく頃にはすっかり飽きてしまいました。当然といえば当然ですが、途中の景色はほとんど山です。川沿いを走るのでそこそこ見応えのある景色ではありますが、突然見たことも無いような景色が現れるなんてことはなく、ひたすら山ですからどうしても飽きてしまいます。見ていて面白いなと思ったのは、山沿いを走るので軌道が90度近く曲がっているところを走っていったり、雪が降ると列車が使えなくなるので歩いて行くためのトンネルがあったこと、あとは途中駅で川沿いに露天風呂があったことくらいでしょうか。あとはもう天気によると思います。

さて、そんなこんなで到着した欅平ですが、何かあるのかと言えば何もありません。手前に鐘釣という駅があり、そこで降りる人も多いのですが、そこには温泉があり先ほど言った露天風呂が川沿いに湧き出ています。本当は欅平周辺も遊歩道があってそれなりの見どころはあるようですが、ほとんどの人はここですぐにUターンして帰ります。降りて15分もすると帰りの電車ですので、トイレ休憩と記念写真くらいのものです。私たちが到着してしばらくするとだいぶ雨も降り出してきてしまいました。そんなわけで駅周辺を散策するでもなく、すぐに折り返しの列車に乗り、また80分かけて戻ったわけですが、宇奈月に戻る頃にはすっかり身体も冷え切ってしまい、もう一度温泉に入りたい気分になっていました。

来た時には反対の階段から降りたので気付かなかったのですが、こちらの駅前には温泉噴水があります。黒薙から引いてきた温泉の噴水なんですが、これがまた温泉のぬくもりを喚起させるので、ますます風呂に入りたくなってしまいました。預けた荷物はこの写真の右側にある日通に置いてあったわけですが、これは電車に乗るギリギリまで預けておくつもりでした。トロッコ列車に乗り終わって戻ってきたのが12時半くらいでしたので、ちょうどご飯時です。このまま早めの電車で帰ってもいいのですが、予約してあった特急や新幹線にはまだだいぶ時間があります。以前ネットで調べて、ほとんど同じコースを辿っていると思われた人のサイトを見ていて、この近辺でもかろうじて栄えているであろう魚津ですら何も無いというのを知っていたので、食事をしながら空いた時間に温泉に入ろうということになりました。

申し込んでいたツアーは最近流行の温泉パスポートというのがついていました。これは加盟している旅館やホテルの風呂に決められた時間入れるというものですが、ただ問題はたいていのホテルはタオルが各自持参になっていることです。
有料の貸し出しはバカらしいし、かといってそれで諦めるのもまた寂しい。ただ場所によっては浴場に備えているところもあり、果たしてうまいことにそういうホテルが近くにありました。カミサンと喜び勇んで行ったのですが、先に預けておいたカバンから予備の着替えを持っていけば良かったとあとになって後悔しました。

向かったホテルは宇奈月国際ホテル。国際とかつくと名前だけのホテルも結構あったりしますが、このホテルはなかなかいいホテルです。正直最初からこっちだったら良かったのにと思ったくらいです。館内は綺麗だし、時間的に早かったせいか風呂も大きな風呂が貸切です。今回の旅行の中で一番贅沢な時間だなと思いながら、ゆったり浸かることができました。駅から歩いても3,4分ですので、もし同じように帰りの電車まで時間がある場合にはお薦めです。もっともそれによってホテルが儲かるかどうかはわかりませんが、ホテル自体がかなり好印象だったので、もし次に行く機会があれば是非泊まってみたいと思ったものでした。

温泉に入れたおかげで帰りにちょうどいい時間になりました。このあと地鉄からほくほく線、越後湯沢で上越新幹線のマックスときに乗り継いで帰京したわけですが、総じて今回の旅行はのんびりムードで良かったと思います。ただ連休や紅葉シーズンは相当混むんでしょうね。まだ行かれてない方には是非お薦めしたいコースです。                       (完)

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