2004年10月15日

立山黒部アルペンルート6(本編3)

美女平行きのバス乗り場は整列乗車を促すために遊園地の人気アトラクションのような柵で区切られ、シーズン中はかなり混雑するであろうことが窺えます。寒いためかバス乗り場は屋内で整列してから改札するのですが、ホテル立山に隣接というか一体化している建物内はかなり暗めでした。この日はそれほど人も多くなかったのでバスも満員ではありませんでしたが、それでも今まで乗ってきたものに比べるとそこそこ混んでいます。

高原バスは室堂を出発すると途中天狗平・弥陀ヶ原を経由して標高差1,500mをゆっくりと降りていき、美女平までおよそ50分の道のりです。春先にアルペンルートが開通すると雪の大谷が出来るわけですね。その頃に乗ればかなり面白い気もします。途中の停車駅にはホテルがあったりするんですが、これはマイカーが無い場合、いったんホテルに入ったらもうどこへも行きようがないと思える場所で、それはそれで経験したいような、できれば経験したくないような、なんだか隔離されるために行くような寂しさを感じたのは私だけかもしれません。複雑な気もしますが、ここで降りていく人たちが何組かいました。

バスの走行中は車内にアルペンルートのビデオが流れているんですが、自分たちが来た道を振り返るようで、すでに旅を終えたような気分になります。また車内アナウンスでバスの中からの景色や山の説明などもあるのですが、だいたい右側に集中しているので、もし余裕がある場合は右側に陣取った方がいいでしょう。日本一の落差を誇る称名滝も途中遥か遠くに眺められるところを通るのですが、これも右側です。このときもバスは徐行しますから、わざわざ見に行くのが億劫だという場合は是非バスから見れるように右に座っていた方がいいでしょう。私たちは左に座っていたために、お隣さんにかぶさるようにして立って見てたんですが、そのとき隣に座っていた初老のご夫婦はすっかり熟睡していました。標高が下がるにつれ、だんだんと雲も切れてきて、美女平につく頃にはすっかり晴れ渡っていました。山の天気の気まぐれさはそのたびに思い知らされます。

アルペンルートでは一番長い乗車時間で、しかも観光をかねてかなりゆっくり走るのでわりと眠くなりますが、なかなか景色も良かったように思います。美女平につく頃にはかなり気温も高くなってきてました。それにしても何も無いところです。これまたあくまでもケーブルカーの駅というだけで、名前などあってなきが如くです。駅舎の周りは森しかありません。おみやげ屋さんが駅にありますが、ここもほとんどの人が冷やかし程度に見るだけでしょう。それでも天気がいいので気持ちがいいです。ここからアルペンルート最後の乗り物であるケーブルカーに乗ります。どうでもいいことですが、ケーブルカーは登りは首が疲れるので下りの方がいいです。乗っている時間は短いですが、傾斜が急なのと下界を見下ろせるのでなかなか楽しい乗り物だと思います。ただ麓に近づくにつれその景色に感動を覚えなくなるのは致し方ないのかもしれません。およそ7分の乗車で終点立山に到着しました。

さて、富山側の起点はこの立山になっているため、アルペンルートは一応ここで終わるわけですが、ここから本日泊まるホテルまで移動しなければなりません。宿泊予定は宇奈月温泉というトロッコ列車の始発駅があるところなので、さらにここから2時間くらい電車に乗らないとなりません。朝の出発が早かったため、ちょうどお昼にいい時間に立山についたのでここで昼食です。とは言え、ここも先ほどの美女平程ではありませんが、食事どころが3,4軒あるくらいで、それほどグルメな人が喜びそうな店などはありません。どの道アルペンルート価格ですから、食事はどこも期待しない方がいいに違いありません。

宇奈月温泉までは富山地方鉄道を利用します。地元では地鉄と言われているようです。立山から宇奈月温泉まで特急アルペンというのがあるんですが、これだと約1時間半、それ以外の普通電車だと途中乗り換えも含めて2時間ちょっとかかります。旅行前にもらった時刻表で特急アルペン1号が立山14:24発、宇奈月温泉15:57分着というのがわかっていました。最初アルペンルートを踏破するのにどれくらいの時間が必要なのかわからなかったために、この電車には間に合わないだろうと思っていたのですが、もし昼食をとらなければ12:33分発の電車にも乗れたので、逆にこの特急ではだいぶ待たなければなりません。そんなわけで立山を13:33分に出る普通電車に乗ったわけですが、乗換えで10分少々待たされるため、到着時刻は実は15分くらいしか違いませんでした。

それにしても長い乗車時間です。東京から長野に行くよりも長い時間ローカル線に揺られるわけですから、かなり退屈しそうですが、実はこのローカル線が一番乗っていて面白かったような気もします。富山の風景を眺めながら、ほとんど田んぼや畑の中を走るわけですが、ローカル線のわりには意外とスピードが出ています。2両編成のまさにローカルな感じですが、それでも地域の人にとっては欠かせないものなのでしょう。停車駅のほとんどが無人駅、しかも車掌のいないワンマン電車なので降りる客がいるときには運転手がわざわざ席を離れて検札します。そういう駅では降りる場所が前の車両の一番前のドアと決まっているわけですが、実際にバスについているのと同じような両替機も備えられていて、その上のところにバスの料金掲示板と同じ電光掲示板がついています。線路が無ければワンマンバスです。その料金表で確認すると、途中で乗り換えなければならない寺田駅はなんと50個くらい先の駅になってます。随分先だなと笑いながら、最初意外とスピードを出しているのが感動的でしたが、そのうち食事後のせいか、あるいは単調な景色に飽きてきたせいなのか非常に眠くなり、カミサンともども眠りに落ちてしまいました。

(つづく)

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